東和銀行
製品 | 業種 |
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EcoNiPass | 金融 |
群馬県前橋市に本社をおき、創立100年を超える東和銀行。地域に愛される銀行とし、地域密着型の支援を貫く東和銀行の経営課題のひとつが持続可能なビジネスモデルの構築だ。その社会課題の解決へ向けた次なる一手とし、脱炭素社会の実現に取り組み、地域企業の価値向上と持続的な発展を目指す「TOWA脱炭素コンソーシアム」を発足した。
「TOWA脱炭素コンソーシアム」におけるCO2の可視化・削減の支援策としてCO2排出量可視化プラットフォーム「EcoNiPass(エコニパス)」を採用し、コンソーシアム会員の脱炭素に対するはじめの一歩として、サポートを開始する。
お客様の課題として、エネルギー価格の高騰や発注企業からのカーボンニュートラルに対する取組み要請等が多く聞かれる。自社の現在のCO2排出量の把握やエネルギーコスト削減に対する取組み方法を「わかる化」をするための第一歩として導入されたのがCO2の排出量可視化・削減プラットフォームのEcoNiPassである。
導入背景
課題 | ・産官学金での地産地消のグリーンエネルギー計画を進展させ、地域をはじめ、お客様の企業価値向上に努めたい ・エネルギー価格高騰により、多くのお取引企業のエネルギー関連のコスト削減が課題になっていた |
解決策 (導入ポイント) | ・お客様のエネルギー問題の解決に向けて削減ポイントを簡単に見える化できるCO2可視化サービスを探していた ・TOWA脱炭素コンソーシアムの会員にセミナーなどによる啓蒙活動を共に取り組める企業を探していた |
効果 | ・脱炭素に向けたセミナーやEcoNiPassのデモンストレーションを行い、会員の脱炭素への取り組みのはじめの一歩を支援 ・EcoNiPassは、自行のCO2排出量のみならず、TOWA脱炭素コンソーシアム会員のCO2の排出量も閲覧でき、可視化後のお客様への削減提案や併走支援が行なえる |
地域密着型でお客様応援活動を行う東和銀行
当行は群馬、埼玉、東京、栃木で事業を展開しており、パーパスとして「私たちは、地域のお客様に寄り添い、ともに豊かな未来を創造します」を掲げています。このパーパスに込められた思いは、当行は、地域社会の一員としてお客さまに寄り添い、ニーズや課題の共有と最適な提案で、お客さまの持続的な成長を応援し、お客さまが描く未来を確かなものにするために、お客さまの事業と地域経済を支えるという揺るぎない信念のもと、必要とされる金融機関として経済・社会・文化の発展に尽くしていきたいと考えております。また、ビジネスモデルとして「地域のお客様に対して、どのような価値を提供して、どのように収益力を高めていくのか」示しており、 具体的には、お客様を起点とした「TOWAお客様応援活動」を通じて、地域のお客様に様々な価値を提供することで、 地域経済をはじめ、株主、従業員に対して更なる価値を生み出していきたいと考えております。
TOWAお客様応援活動は、「真の資金繰り支援」、「本業支援」、「経営改善・事業再生支援」、「資産形成支援」をお客様を起点として行う活動です。お客様目線で取組み、お客様から一番にご相談いただけるよう日頃から意識をしています。我々は地域社会の一員としてお客様に寄り添い、ニーズや課題の共有と最適な提案で、お客様の持続的な成長を応援しており、 これからも私たちは、お客様が描く未来を確かなものにするために、お客様の事業と地域経済を支えるという揺るぎない信念のもと、必要とされる金融機関として経済・社会・文化の発展に尽くしていきたいと考えています。今回のTOWA脱炭素コンソーシアムもTOWAお客様応援活動の一環で発足しました。
TOWA脱炭素コンソーシアムの発足の背景
2022年2月にぐんまグリーンエネルギー産業団地を仮想空間で形成する「ぐんま脱炭素コンソーシアム」構想を発表しました。ぐんま脱炭素コンソーシアムは「ぐんまグリーンエネルギー産業団地」という仮想の産業団地を形成し、グリーンエネルギーの発電・調達や県内の事業者への供給を行うことを目指していました。地域企業が地産地消の再生エネルギーに転換するために、地域の企業、群馬県、大学、銀行からなる産官学金で連携し、地域の活性化を図る目的としていたがコンソーシアムの組成直後にロシアのウクライナ侵攻が始まり、エネルギー価格が高騰したことで地域企業も大きく影響を受けておりました。また、新電力会社の撤退や電力不足等もあり、コンソーシアムの取組み内容の見直しを行い、TOWA脱炭素コンソーシアムとして2022年12月に名称変更を行いました。これまでの電力に対する取組みだけでなく、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現により、脱炭素化の支援と企業価値の向上を主軸に転換しました。
TOWA脱炭素コンソーシアムの特長
TOWA脱炭素コンソーシアムは地域活性化のみならず「循環型経済の実現を通して、地域の産業力の強化を目指す」ことに目標とし、企業価値の向上に重点を置いています。現在、260社を超えるコンソーシアム会員が参加しています。
会員は、地域企業の他に脱炭素支援をサポートする発電事業者や群馬県などの自治体や市区町村、群馬大学や前橋工科大学など多くの地域の皆様と連携し、コンソーシアムの活動を展開しています。
本コンソーシアムの特長は、2つあります。
1つ目に会員のサプライチェーンの強靭化と学生のリクルートを支援していることです。サプライチェーンの強靭化の観点では、カーボンニュートラルや脱炭素への対応ができている中小企業は、まだ少ない状況と考えられます。取組むことにより差別化が図れ、発注先からCO2排出量の報告や取組みに関して求められた際に応えることで売上の維持や拡大に繋がると思われます。リクルート観点では、企業価値向上に向け脱炭素に取組んでいる姿勢を社内外に占めすことがで、社員のモチベーションの向上や就職を希望する意欲的な学生を集めることができるかと思います。
2つ目に連携する企業やお客様同士の繋がりを大切にしている点も特徴です。当行には「東和新生会」という、当行が事務局となりお客様同士のビジネス交流などを目的とする組織があります。事務局を各支店で運営し、東和新生会全体での交流会も行い、お客様のビジネス交流の場をご提供しています。現在では、6000社を超える企業が参加いただいています。金融機関と取引のあるお客様が主体となって企業の交流会を形成している事例はあまりないかと思いますが、交流会を通じて当行と参加企業・団体様との繋がりや、お客様同士の繋がりを大切にすることで、地域活性化の支援を行ってきました。
脱炭素に関しても、ともに伴走していただける企業と連携して取組んでいかないと地域企業の脱炭素への取組みの浸透や循環型社会の実現は難しくなると考えていました。そのように考えていた背景には、以前、脱炭素に関するサービスをお客様にご紹介していましたが、ご紹介だけではお客様の導入が進まなかったことがありました。お客様にCO2の可視化の必要性の啓蒙や利用を促進するには、どのように展開していけばよいかなどを連携するパートナー企業とご相談しながら進められる体制が必要だと考えていました。
東和銀行がコンソーシアムでEcoNiPassを導入した3つの理由
EcoNiPassを導入した理由は大きく3つです。
1つ目は、コンソーシアムの目的を達成する連携パートナーとして一緒に脱炭素を推進できそうだと感じたことです。2023年9月に行われた脱炭素EXPOに情報収集に伺った際に、EcoNiPassの事業責任者の大滝さんとお話し、当行が展開する地域の事情や金融機関に精通していることを知りました。EcoNiPassを提供するウイングアーク1stさんはIT企業でデータの利活用に対するノウハウを多くお持ちですので、金融機関だけでは解決できない問題も連携することで双方の知見を持ち寄り、コンソーシアム会員の課題解決を支援できると考えたことが、連携するパートナーとして選択する大きな理由になりました。
2つ目に、当行とコンソーシアム会員のCO2排出量を一元管理できる仕様になっていることがあります。コンソーシアム会員の脱炭素を支援する上で、当行がお客様のCO2の排出量を閲覧できることは重要なポイントでした。EcoNiPassは、コンソーシアムの会員は自社のCO2排出量を可視化でき、当行は自拠点の情報の他にコンソーシアムの会員の各拠点のCO2排出量の情報も閲覧できます。会員はEcoNiPassを導入し、CO2の見える化ができてもはじめて脱炭素に取組むため、どこから削減していけばよいのかわかりません。そこで、当行がお客様の拠点のCO2排出量のデータを閲覧できることで、情報をヒアリングする手間なく削減ポイントの提案や具体的な削減策のスムーズな提案に繋がると思います。
3つ目に、EcoNiPassの安価に始められる料金プランも導入理由になりました。EcoNiPassは4,800円から利用でき、当行のように支店が複数ある場合にも各拠点が1,500円で追加できる利用しやすい価格です。コンソーシアムでは、実際に当行が利用実績のあるサービスを会員に提供する形式の方が紹介や支援をしやすいこともあり、安価に利用できる点は非常にありがたかったです。
勉強会で脱炭素に向けた情報展開と実践を支援
コンソーシアムは賛同いただける企業を多く集め、活動を拡げていきたいと考えていましたので、無償でご参加いただけるようにしています。現在260社を超える企業に参加いただき、参加企業は当行のお客様でカーボンニュートラルへの取組みに、ご興味のある企業様や、取引先などのサプライチェーンである受発注先からCO2排出量の報告要請や相談があり、取組みを検討されている地域企業が多いです。
コンソーシアムの現在の主な活動は、会員向けの勉強会やセミナーの開催です。勉強会では脱炭素に関する知識の向上や脱炭素の取組みの一環としてCO2の見える化も必要であり、EcoNiPassを活用したCO2の可視化の実践方法の紹介を行っています。勉強会では脱炭素に興味関心の高い方が参加されていることもあり、毎回多くの反響があります。今後はコンソーシアム外にも情報発信や展開を行い、更なる地域企業様への波及や、脱炭素への取組みを啓蒙していきたいと考えています。
コンソーシアムのなかでは、実際に脱炭素に向けた取組みも生まれています。例えば、自家消費型の太陽光パネルを屋根に取り付けしたり、空調をよりエコロジーな製品に変更する事例がありました。このような各社の実践事例を紹介することで、自社でも取組みを始めたいと感じていただけるよう事例の展開も行っています。
また、勉強会とあわせて交流会も実施し、参加者同士の名刺交換や脱炭素に向けた取組み方などの共有の他、幅広い情報交換がなされ、地域企業の連携や事業活性化の場として、交流会を起点にした広がりが始まっています。
コンソーシアム会員の現状と今後の展望
コンソーシアムでは、ウイングアーク1stさんや大学、自治体、また、ソリューションを持つ企業様などと連携を図り、それぞれの強みや特徴を融合することで地域のお客様にとって最適な支援が実現できると考えています。
脱炭素への取組みの第一歩として、まずはEcoNiPassを利用いただき、参考になる利用事例が出てきた際にはコンソーシアムで共有していきたいと思います。コンソーシアム会員様や地域企業様にも取組みを知っていただき、実際に取組んでいただくことで、企業価値向上と競争力強化が図れる取組みにしたいと考えています。
当行は地域に根差した地方銀行であり、地域社会の一員としてお客さまに寄り添い、ニーズや課題を共有し最適な提案で、お客さまの持続的な成長を応援したいと考えております。お客様の様々な課題に対し、当行は勉強会やセミナーなどを通じ、情報提供を行い、お客様の課題解決に取組んで行きたいと思います。
また、可視化後には、取組むべき課題が見えてくるため、CO2削減目標の設定を行い、目標に向けて、どのように削減するのかなど、EcoNiPassの共同パートナーである鈴与商事や当行と連携しているソリューションを持ったベンダーと共に、お客様に提案を行っていきたいと考えております。また、補助金制度を活用した脱炭素への取組みも含め、資金面でのサポートも積極的に取組んでいきたいと思います。
当行のお客様である地域企業の皆様から、本コンソーシアムへの参加や脱炭素を実践してよかったと感じていただけるコンソーシアムの実現に向け、取組んでいきたいと考えています。
Company Profile
(写真左から)
リレーションシップバンキング推進部 お客様応援室 主任調査役
中村 紀幸 様
リレーションシップバンキング推進部 お客様応援室 主任調査役
渡邉 正弘 様
執行役員 リレーションシップバンキング推進部長
飯島 裕司様
リレーションシップバンキング推進部 副部長 兼 お客様応援室長
服部 政博 様