カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの量を、同じ量だけ削減または吸収することで、実質的にゼロにすることを指し、世界中で注目されています。
本記事では、世界および日本におけるカーボンニュートラルの動向について解説します。
世界のカーボンニュートラル動向
世界のカーボンニュートラルは国際的な合意と目標のもと、各国の取り組みが始まっています。取り組み目標は各国で異なり、国際的な企業においてもカーボンニュートラルに向けた取り組みが始まっています。
1.国際的な合意と目標
- パリ協定: 2015年に採択されたパリ協定は、産業革命以前と比べて気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えることを目指しています。このために、多くの国が2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。
- IPCC報告書: 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、カーボンニュートラル達成の必要性と緊急性を強調しています。
2.主要国のカーボンニュートラルへの取り組み
- 欧州連合(EU): EUは、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。これには、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上が含まれます。
- アメリカ: バイデン政権は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。インフラ投資やクリーンエネルギー技術の開発が進められています。
- 中国: 中国は、2060年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言しています。再生可能エネルギーの拡大や炭素排出取引制度の導入が進められています。
3.国際的な企業の取り組み事例
- テクノロジー企業: マイクロソフトやアマゾンなどの大手企業は、カーボンニュートラルの目標を掲げ、再生可能エネルギーの使用拡大や炭素オフセットプログラムを実施しています。
- 製造業: 自動車メーカーや重工業も、電動化やエネルギー効率の向上、サプライチェーン全体での排出削減に取り組んでいます。
日本のカーボンニュートラル動向
日本においてもカーボンニュートラルに向けた政策と戦略が宣言されています。各自治体、地域、企業においても取り組みが進んでいます。
1.日本のカーボンニュートラルの政策と戦略
- 2050年カーボンニュートラル宣言: 日本政府は2020年に2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言しました。
- グリーン成長戦略: 日本は、再生可能エネルギーの拡大、次世代電池技術、水素エネルギーの利用促進などを含むグリーン成長戦略を策定しました。
- 温室効果ガス削減目標: 2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を46%削減する目標が設定されています。
2.日本の産業界の脱炭素への取り組み
- エネルギー変革: 日本のエネルギー政策では、再生可能エネルギーの割合を増やすために、太陽光発電や風力発電の導入が進められています。
- 自動車産業: トヨタや日産などの自動車メーカーは、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の開発に注力しています。
3.自治体・各地域のカーボンニュートラルの取り組み
- 地域の取り組み
- 自治体の行動計画: 多くの自治体が独自のカーボンニュートラル目標を設定し、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上を目指しています。
- 地域のエネルギー資源: 地熱、風力、太陽光などの地域資源を活用したエネルギー自給自足の取り組みも見られます。
カーボンニュートラルの課題と展望
カーボンニュートラルの世界と日本における取り組みはまだ始まったばかりで、今後も継続的な取り組みにおいて意識的に課題に取り組みが求められています。
- 技術開発: カーボンニュートラル達成には、新しいクリーンエネルギー技術の開発と普及が不可欠です。
- 政策支援: 各国政府の政策支援が重要であり、国際協力も必要です。
- 市民意識: 市民の環境意識の向上と行動変容が求められます。
カーボンニュートラルは、気候変動の影響を軽減し、持続可能な未来を築くための重要な目標です。世界と日本の取り組みは、それぞれの特性と状況に応じて進展しており、今後も多方面での努力が続けられることが期待されます。