カーボンフットプリント(CFP)認証は、企業が環境への負荷を把握し、持続可能な社会に貢献するための重要なステップです。特に、蓄電池や自動車などの産業においては、製品のライフサイクル全体にわたる二酸化炭素排出量を測定し、管理することが求められています。
本記事では、CFP認証の目的を明確にし、認証・検証データのトレーサビリティ確保と一貫性保持の重要性を解説します。また、認証と検証における各認証プロセスについても詳しくご紹介します。

認証・検証データのトレーサビリティとエビデンス確保の重要性
CFP認証を受けるプロセスでは、データのトレーサビリティとエビデンス確保が非常に重要です。これらは認証の信頼性を高め、企業間でのデータ整合性を保証するために必要不可欠な要素です。以下でトレーサビリティとエビデンス確保の意味とその重要性について詳しく解説します。
トレーサビリティとは?
トレーサビリティとは、製品のライフサイクルに関するデータが、製品が流通していく過程で、川下企業(最終ユーザー)や川上企業(原材料供給者)に対して追跡・遡及できる状態を指します。

図1:引用 蓄電池・自動車のカーボンフットプリント(CFP)認証プロセスガイドブック
つまり、製品がどのように製造され、どの材料が使われ、どのようなプロセスを経て最終的な製品が完成するかを把握できることです。これにより、製品の環境影響をより正確に評価できるようになります。
CFP算定結果の妥当性と再現性
CFPは数値で表現されたデータであり、その妥当性は算定内容の検証と、使用されるデータの整合性によって成り立ちます。CFP算定の再現性が確保されていることで、同じ条件下であれば誰でも同じ結果が得られることが保証されます。
CFP算定結果を認証するには、算定に使用されたデータがどこから来て、どのように収集されたかを第三者が確認できることが重要です。
このため、例えばバッテリー製造にあたはめると製造者やサプライヤーから提供されたデータが追跡可能であり、データのやり取りにおける時系列が一貫していることが確認されることが必要です。つまり、企業が持っているデータが、他の企業と一致し、検証可能であることが前提となります。
データのトレーサビリティとエビデンスの確保
CFP算定結果を認証するためには、企業内でデータのトレーサビリティを確保し、それを証明するためのエビデンスも整える必要があります。これには、データがどのように収集され、処理されたかを示す記録や文書が含まれます。企業がデータの流れを明確にし、それを第三者に説明できるようにしておくことが重要です。
これまでの一般的な認証プロセスでは、データの検証範囲が企業内に限られていることが多いですが、欧州の電池規則に基づく認証オプションbでは、サプライチェーン全体にわたってデータのトレーサビリティが求められるため、より広範なデータ管理が必要になります。このため、製品のCFP算定結果の認証は、単に製品ごとの認証だけでなく、サプライチェーンで連携した結果の認証が必要です。
サプライチェーン全体でのデータ一貫性確保
企業が認証を受ける際には、サプライチェーン全体でのデータの一貫性を確保することが求められます。これは、各企業が自社のCFP算定に関するデータを適切に管理し、その整合性を保つために重要です。CFP算定結果は定期的に見直しや更新が行われるため、更新されたデータが認証期間中に反映されることもあります。この場合、データの一貫性が保たれているかどうかを再確認する必要があります。
CFP認証において、トレーサビリティとエビデンスの確保は、信頼性の高い認証プロセスを実現するための基盤です。企業は、自社内でデータの整合性を保ちながら、サプライチェーン全体にわたるデータ管理を徹底する必要があります。これにより、認証プロセスがスムーズに進行し、企業間での信頼性が確保されます。

認証データの一貫性確保について
CFP認証において、データの一貫性確保は非常に重要です。サプライチェーン全体でのデータの整合性を保ち、最終的な製品(例えば蓄電池)のCFP算定結果と、途中のサプライヤーが提供するデータとの一致を確認することが求められます。
ここでは、データの一貫性を保つために必要な要素について解説します。
データの一貫性とは?
データの一貫性が保たれた状態とは、サプライヤーから報告された部品のCFP算定結果を遡り、サプライチェーン上の各企業が算定した結果を積み上げた結果、最終製品のCFP算定結果と一致することを意味します。

図2:引用 蓄電池・自動車のカーボンフットプリント(CFP)認証プロセスガイドブック
加えて、企業間でのデータのやり取りにおいて、時系列が整合していることも重要です。これにより、各企業が算定したデータが一貫しており、信頼性が高いことが保証されます。
NBによるデータの確認
認証機関(NB)は、サプライチェーン上の各企業が提供するデータを確認し、CFP算定結果とその時系列の一貫性を確保できているかをチェックします。データの整合性が取れているかを確認することが、認証の信頼性に直結するため、企業ごとにデータの管理が重要となります。
定期的なデータの見直し
CFP算定結果は一度算定したら終わりではありません。定期的に見直しや更新が行われます。例えば、サプライチェーン上で新たなデータが更新されることがあり、そのデータ更新が認証や検証期間中に発生することもあります。
この場合、NBは更新されたデータを遡って検証し、古いデータと新しいデータを照らし合わせて、一貫性が保たれているかを確認します。
更新前後のデータ検証
サプライヤーが提供した最新のCFP算定結果と、以前報告された結果に違いがある場合、NBはその更新前のデータに対しても検証を行わなければなりません。これにより、更新前のデータがどのように算定され、どう処理されたのかを理解し、整合性を確認することができます。
データの一貫性確認方法
データの一貫性を確認するために、認証機関はデータセットのタイムスタンプや文書管理番号の確認を行います。これらは、データがいつ、どのように収集され、管理されてきたかを追跡するための重要な指標です。これにより、CFP算定結果が時間軸に沿って適切に管理されていることが確認できます。
CFP認証においてデータの一貫性を確保することは、製品の環境影響を正確に評価し、認証プロセスが信頼性のあるものであることを保証するために欠かせません。サプライチェーン全体でのデータ管理と定期的な見直しを行い、更新されたデータの整合性を確認することが求められます。企業はこのプロセスに十分な準備を行い、認証機関との協力のもとで一貫性のあるデータを提供することが重要です。

データの一貫性を保つための推奨事項
CFP認証において、データの一貫性を保つことは非常に重要です。一貫性を確保するために、企業が取り組むべき具体的なステップについて解説します。
算定段階での取り組み
データの一貫性を保つためには、まず算定段階での記録が重要です。ILCD(国際基準ライフサイクルデータシステム)フォーマットに基づいた算定記録を作成することが推奨です。このフォーマットに従い、必要な情報を詳細に記録することで、後に検証時にデータの整合性を確認しやすくなります。
認証の準備段階
認証を受ける準備段階では、NB(認証機関)に提出するデータとそのエビデンスを整えることが重要です。データとエビデンスに不整合がないか事前に確認し、もし不整合があれば、是正した上でNBに説明できるように準備します。この段階での準備が、スムーズな認証プロセスに繋がります。
認証の実行段階
認証の実行段階では、算定記録をNBに提出し、そのデータとエビデンスを説明します。提出する際は、全てのデータが整合しているか、そしてエビデンスが適切に揃っているかを再度確認することが重要です。これにより、NBがデータの一貫性を確認し、認証プロセスが円滑に進むことを確実にします。
データの一貫性を保つための情報例
データの一貫性を保つためには、以下の情報を正確に管理することが推奨されます。
- 自社製品のCFP値
- サプライヤーから入手したCFP値
- データ収集日
- CFP値の川下企業への報告日
これらの情報を整備し、常に最新のデータを提供することで、データの一貫性が保証されます。
データの一貫性を保つためには、算定段階から認証の準備、実行段階に至るまで、慎重に管理し整備することが重要です。企業がデータを正確に記録し、エビデンスをしっかりと整えることで、認証プロセスがよりスムーズに進行します。

認証プロセスの詳細
次に製品認証のプロセスについて解説します。認証のプロセスはサプライチェーンが複雑な場合、慎重に進める必要があります。以下で各プロセスを具体的に解説し、各段階で企業がどのように対応するべきかを説明します。
1. 認証・検証の手順
認証と検証の業務は、製品のCFP(カーボン・フット・プリント)算定から認証の取得に至るまで、数段階にわたって進行します。図3に示す通り、全体の流れは大きく3つの段階に分かれます。
- 算定段階
- 認証・検証準備段階
- 認証・検証実行段階

図3:引用 蓄電池・自動車のカーボンフットプリント(CFP)認証プロセスガイドブック
この段階ごとに企業はデータのトレーサビリティを確保し、エビデンスを整理することが求められます。以下でそれぞれの段階についてご紹介します。
2. 算定段階
算定段階の目的は、認証・検証に必要なデータの整備とエビデンスの管理です。バッテリー製造者は、対象製品、算定期間、出荷計画を考慮して認証計画を立てる必要があります。この段階では、サプライチェーン上の企業が自社のデータの流れを整理し、必要なデータをきちんと管理することが求められます。
具体的には、CFP算定に使用するデータを収集し、各サプライヤーから受け取ったデータをタイムスタンプ付きで記録しておくことが重要です。これにより、データの移動経路を追跡し、後に検証を行う際に役立てます。バッテリー製造者は、これらのデータを台帳や他の適切な方法で整理し、検証に備えます。
3. 認証・検証準備段階
認証準備段階では、バッテリー製造者がNotified Body(NB)と契約を結び、認証の対象となる製品や部品について、必要なトレーサビリティを確保した情報を整理します。最初に、製品の樹形図やCFPの積算完了時点のデータを整理し、NBに伝える準備をします。
認証準備の中で、重要なのはサプライチェーン上の企業間で情報を適切に共有し、機密保持を徹底することです。バッテリー製造者は、直接取引のある企業に製品情報を伝える必要があります。その後、情報はサプライチェーンを遡り、最上流企業まで伝達されます。
企業間で機密保持に関する取り決めを行いながら、このように情報を正確に伝達することで、認証対象製品の詳細な情報とトレーサビリティが確立されます。

4. 認証・検証実行段階
認証実行段階では、NBが実際に検証を行い、製品の認証を決定します。この段階では、各企業が算定段階で整備したデータやエビデンスをNBに提出し、実査を通じてその正確性を確認します。
NBは、検証対象となる企業に対して、CFPデータの検証と必要に応じて実査を行う企業を選定します。実査が行われる際、バッテリー製造者やサプライチェーンの各企業は、認証のために準備していたデータを整理し、NBに提出します。
実査後、NBは提出されたデータを基に、製品が認証基準を満たしているかを判断し、認証の証明書を発行します。この段階で、検証に必要なすべての手順が完了し、製品の認証が正式に取得されます。
5. サプライチェーンと認証の関係
認証プロセスを円滑に進めるためには、サプライチェーン全体での協力が不可欠です。各企業は、CFP値の報告やデータ提出について透明性を持ち、正確な記録を提供することが求められます。
認証準備段階では、サプライチェーン内で製品の部品やCFPデータを整理し、これを元に最終製品のCFP算定結果を確定します。バッテリー製造者が中心となり、全ての企業が協力してデータを整備し、正確に報告することが認証取得への近道です。
認証・検証のプロセスは複雑であり、各企業が連携し、適切なデータ管理と情報の伝達が行われなければ、認証取得は困難になります。しかし、認証プロセスを段階ごとに理解し、適切な準備をすることで、スムーズな認証取得が可能になります。企業は、自社のCFP算定結果をしっかりと管理し、サプライチェーン全体で情報を一貫性を持って共有することが、認証を受けるための鍵となります。
このプロセスを通じて、企業は環境に配慮した製品の認証を得るだけでなく、サプライチェーンのトレーサビリティを強化し、持続可能なビジネスの構築に貢献することができます。
まとめ
CFP認証は、企業が製品の環境への影響を正確に評価し、持続可能な社会づくりに貢献するための重要なステップです。特に、蓄電池や自動車産業では、製品ライフサイクル全体の二酸化炭素排出量を測定し、管理することが求められます。
認証プロセスでは、データのトレーサビリティとエビデンス確保が不可欠であり、企業はサプライチェーン全体でデータの一貫性を確保する必要があります。これにより、信頼性の高い認証を得ることができ、環境への負荷を減らすための基盤が作られます。持続可能な企業活動を推進するために、認証プロセスを理解し、積極的に取り組むことが求められます。
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