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CO2排出量の計算方法を徹底解説!必要データと5ステップで分かる実践ガイド

■AIによる記事の要約

 この記事は、企業が取り組むべきCO2排出量計算を基礎から実践まで解説しています。排出源をScope1~3に分類し、活動量データ収集、排出係数選択、算定、集計・検証の5ステップで進める方法を紹介。必要データの入手先や計算例も提示し、正確な算定により法的義務の履行、信頼性向上、経営戦略への活用が可能であると強調しています。また、科学的根拠に基づく削減目標の設定と施策実行の重要性も説いています。

 地球温暖化対策が急務となる現在、企業や組織におけるCO2排出量の正確な算出は、環境経営の根幹を担う重要な取り組みとなっています。本記事では、CO2排出量計算の基礎知識から実践的な計算方法まで、包括的に解説いたします。計算に必要なデータの入手方法や、具体的な計算手順を5ステップで分かりやすく説明し、効率的なCO2排出量管理を実現するためのポイントを詳しくご紹介します。

法的義務と社会的責任

 企業がCO2排出量計算を実施すべき理由は、法的義務の履行と社会的責任の果たしにあります。日本政府は2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げ、2030年までに2013年度比で46%のCO2削減を目指しています。この目標達成には、企業の積極的な取り組みが不可欠となっています。

 具体的な法的要件として、省エネ法に基づくエネルギー使用状況の報告義務、温対法による温室効果ガス排出量の報告義務があります。一定規模以上の事業者には、これらの法律により排出量の算定と報告が義務付けられており、正確な計算手法の習得が求められています。

経営戦略における重要性

 2024年の最新研究によると、CO2の社会的コストは従来の想定を大幅に上回り、1トン当たり約2万4100円に達することが明らかになりました。この数値は、企業の環境対策への投資判断において重要な指標となります。CO2排出量の「見える化」は、企業の社会的信頼向上と他社との差別化を実現し、持続可能な経営戦略の構築に直結します。

必要データの整理

 CO2排出量計算を実施するためには、以下のデータが必要となります。

活動量データ

  • 電力使用量(kWh):電力会社の請求書、電力メーター記録
  • 燃料消費量(L、m³、kg):購入伝票、給油記録、ガス使用量明細
  • 生産量(t、個):生産管理システム、製造記録
  • 輸送量(t・km):配送管理システム、運送業者のデータ
  • 廃棄物処理量(t):廃棄物処理業者の処理報告書

排出係数データ

  • 電力の排出係数:各電力会社の公表値、環境省データベース
  • 燃料の排出係数:環境省「算定方法・排出係数一覧」
  • 製品・サービスの排出原単位:環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」

データ入手先の詳細

官公庁・公的機関

  • 環境省:算定方法・排出係数一覧(毎年更新)
  • 経済産業省:省エネルギー関連データ
  • 国土交通省:交通関連排出係数

民間データベース

  • 各電力会社:電力排出係数の公表値
  • LCA日本フォーラム:LCAデータベースIDEA
  • 産業環境管理協会:カーボンフットプリントデータベース

ステップ1:排出源の特定と分類

 最初に、組織内のCO2排出源を特定し、Scope1(直接排出)、Scope2(エネルギー起源間接排出)、Scope3(その他間接排出)に分類します。

Scope1の排出源

  • 自社所有の燃焼設備(ボイラー、炉、発電機)
  • 社有車両の燃料使用
  • 工業プロセスからの直接排出

Scope2の排出源

  • 購入電力の使用
  • 購入熱・蒸気の使用

Scope3の排出源

  • 購入した製品・サービス
  • 輸送・配送(上流・下流)
  • 事業から出る廃棄物

ステップ2:活動量データの収集

特定した排出源について、正確な活動量データを収集します。データ収集の際は、測定期間の統一、単位の確認、欠損データの補完方法を事前に決定することが重要です。

ステップ3:適切な排出係数の選択

各活動量に対応する排出係数を選択します。電力については、契約している電力会社の最新の排出係数を使用し、燃料については環境省が公表する最新の排出係数を適用します。

ステップ4:CO2排出量の計算実行

基本的な計算式を用いて、各排出源のCO2排出量を算出します。

基本計算式

CO2排出量(kg-CO2)= 活動量 × 排出係数

電力使用の場合

CO2排出量 = 電力使用量(kWh)× 電力の排出係数(kg-CO2/kWh)

燃料使用の場合

CO2排出量 = 燃料使用量(L)× 燃料の排出係数(kg-CO2/L)

ステップ5:結果の集計と検証

算出した各排出源のCO2排出量を集計し、Scope別、部門別、期間別に整理します。計算結果の妥当性を検証するため、過去のデータとの比較や業界平均値との照合を実施します。

エネルギー起源CO2排出量の計算手法

 エネルギー使用に伴うCO2排出量は、最も基本的で重要な計算項目です。

電力使用量の計算例

  • 月間電力使用量:10,000 kWh
  • 電力会社の排出係数:0.5 kg-CO2/kWh
  • CO2排出量:10,000 × 0.5 = 5,000 kg-CO2

都市ガス使用量の計算例

  • 月間都市ガス使用量:1,000 m³
  • 都市ガスの排出係数:2.29 kg-CO2/m³
  • CO2排出量:1,000 × 2.29 = 2,290 kg-CO2

非エネルギー起源CO2排出量の計算手法

 工業プロセスや廃棄物処理に伴うCO2排出量の計算方法を解説します。

廃プラスチック焼却の計算例

  • 廃プラスチック焼却量:500 kg
  • 廃プラスチックの排出係数:2.77 kg-CO2/kg
  • CO2排出量:500 × 2.77 = 1,385 kg-CO2

輸送に伴うCO2排出量の計算手法

 貨物輸送や通勤・出張に伴うCO2排出量の計算方法を説明します。

トラック輸送の計算例

  • 輸送重量:2トン
  • 輸送距離:100 km
  • トラック輸送の排出係数:0.19 kg-CO2/t・km
  • CO2排出量:2 × 100 × 0.19 = 38 kg-CO2

Scope1排出量の詳細算定

 直接排出であるScope1の計算では、燃料使用量の正確な把握が重要となります。

重油使用ボイラーの計算

  • A重油使用量:5,000 L/月
  • A重油の排出係数:2.71 kg-CO2/L
  • 月間CO2排出量:5,000 × 2.71 = 13,550 kg-CO2

Scope2排出量の詳細算定

 電力使用に伴う間接排出の計算では、基礎排出係数と調整後排出係数の使い分けが重要です。

調整後排出係数の適用例

  • 電力使用量:50,000 kWh/月
  • 調整後排出係数:0.35 kg-CO2/kWh
  • 月間CO2排出量:50,000 × 0.35 = 17,500 kg-CO2

Scope3排出量の詳細算定

 Scope3の計算は15のカテゴリに分類され、それぞれ異なる算定方法を適用します。

購入した製品・サービス(カテゴリ1)の計算例

  • 購入金額:1,000万円/年
  • 排出原単位:3.0 kg-CO2/千円
  • 年間CO2排出量:10,000 × 3.0 = 30,000 kg-CO2

削減目標の設定

 算出したCO2排出量を基に、科学的根拠に基づいた削減目標を設定します。SBT(Science Based Targets)の考え方に沿って、1.5℃目標に整合した削減率を適用することが推奨されます。

削減施策の優先順位付け

 Scope別、排出源別の排出量割合を分析し、削減効果の大きい施策から優先的に実施します。投資対効果を考慮した削減コストカーブの作成により、効率的な削減計画を策定できます。

データ品質の確保

 正確なCO2排出量計算には、高品質なデータの収集が不可欠です。データ収集プロセスの標準化、定期的な検証・更新、データ管理システムの整備を実施します。

排出係数の適切な選択

 最新かつ事業実態に適した排出係数の選択が、計算精度向上の鍵となります。可能な限り、サプライヤー固有の排出係数を使用し、一次データの活用を心がけます。

計算済みテンプレートのダウンロード

 CO2排出量計算を効率的に実施するため、以下のテンプレートを準備しています。

利用可能なテンプレート
https://www.env.go.jp/press/files/jp/12068.xls

出典:環境省「排出量計算シート」(https://www.env.go.jp/press/files/jp/12068.xls

これらのテンプレートには、主要な排出係数が事前に入力されており、活動量データを入力するだけで自動的にCO2排出量が算出されます。

 CO2排出量の正確な計算は、企業の環境経営において基盤となる取り組みです。本記事で解説した5ステップの計算手法と必要データの整備により、法的義務の履行と効果的な削減対策の実施が可能となります。

 サプライチェーン全体を通じたScope1・2・3の包括的な算定により、企業は自社の環境影響を正確に把握し、科学的根拠に基づいた削減目標の設定と施策の実行を実現できます。継続的なデータ収集と計算精度の向上により、持続可能な経営戦略の構築と地球環境保護への貢献を両立することが重要です。

出典:環境省「算定方法・排出係数一覧」、同省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」

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