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製品の認証や検証を進める上で、正確な文書や記録類の整理と管理は不可欠です。特に環境影響評価やライフサイクルアセスメント(LCA)のような分野では、データの整合性と透明性が求められます。
本記事では、認証・検証に必要な文書の種類、データ収集の方法、そしてそれらをどのように管理・準備すべきかについて、具体的に解説します。認証機関(NB)の審査に合格するためのポイントを押さえ、スムーズな認証プロセスを実現しましょう。

認証・検証に必要な文書
製品の認証や検証を行う際、必要な文書や記録類の整理と管理は非常に重要です。特に、環境影響評価やLCAなどの分野では、正確かつ整合性の取れたデータが求められます。
これらの検証において、どのような文書や記録が必要で、それらをどのように準備し管理するべきかについて、以下で詳しく解説します。
検証に必要な文書・記録類
認証・検証に必要な文書や記録は、製品の種類や対象となる規制に応じて異なりますが、一般的には以下のような資料が求められます。

表1:引用 蓄電池・自動車のカーボンフットプリント(CFP)認証プロセスガイドブック
製品の認証や検証を進めるには、いくつかの重要な資料やデータが必要です。まず、製品の機能や構造に関する資料が不可欠です。これらの資料は、NBや第三者が製品の特性を理解し、その製品が認証・検証の対象となる要件を満たしているかどうかを評価するための基盤となります。
次に、算定に使用したデータは、エビデンスとして整合性を保ちつつ、体系的に整理し、採番して管理することが推奨されます。データ収集の方法や計算式、収集期間についても詳細に記載することが重要です。これにより、後日誰が見ても容易に理解できる形式でデータを管理でき、透明性が確保されます。
さらに、必要に応じて図表やグラフを活用することが効果的です。視覚的に情報を整理することで、データや結果が分かりやすく示され、審査員の理解を深めることができます。
認証・検証の際に確認されるポイント
認証や検証のプロセスでは、NBが各項目について確認を行います。主に以下のポイントがチェックされることが一般的です。
全般的な確認事項 | ・最新の算定ルールに従っているかどうか ・原単位データベースを適切に使用しているか ・算定範囲が適切に設定されているか ・製品情報が正確に把握されているか |
データに関する確認事項 | ・必要なデータ収集項目がすべて収集されているかマテリアルバランス(原材料や部品等の投入量とそれに伴う製品や廃棄物、環境負荷物質の発生量)の整合性が取れているか ・データの根拠が明確に記載されているか ・計算ミスや転記ミスがないか ・カットオフがある場合、その根拠が明確であり、ライフサイクル全体に与える影響を過小評価していないか |
実地審査における確認事項 | ・ライフサイクルフロー図が実際のフローと一致しているか ・提出されたデータやエビデンスが実際の状況と合致しているか ・提出した書類が公開後の問い合わせに対応できるように管理されているか |
一貫性の確認 | ・データセットのタイムスタンプが時系列に整合性を持っているか ・文書やデータセットの管理番号が一致している |
これらの確認事項は、認証・検証が正確に行われるための重要な基盤となります。特に、データの整合性や文書の管理が不十分であると、後日問題が発生した場合に対応が困難になるため、細心の注意を払って準備を進める必要があります。
認証・検証に必要な文書や記録類は、製品の評価や認証を成功させるために不可欠な要素です。それらを正確に整理し、適切に管理することが求められます。また、認証機関による審査が円滑に進むよう、データや書類の整合性を保ち、必要な情報が一目でわかるように工夫することが重要です。これにより、認証や検証のプロセスがスムーズに進み、最終的に求められる基準を満たすことができるでしょう。

認証プロセスにおける課題とその対応方法
認証プロセスでは、さまざまなデータに関する変更が発生する可能性があります。特にCFP値や原単位データベースの変更は、認証取得の過程で重要な課題となることがあります。
こうした課題がどのように生じるか、そしてその場合にどう対応すべきかについて以下で具体的なケースをご紹介します。
認証プロセス中にCFP値が変更された場合
認証プロセスの中で、CFP値が変更されることがあります。変更の原因によっては、NBがデータの再検証を行い、CFP値の妥当性を確認します。もしCFP値の変化が10%未満であれば、バッテリー製造業者やサプライヤーは、NBから指示された通り、必要な情報を提供することが求められます。
しかし、CFP値が10%以上の変更を受けた場合は、変更後のCFP値を川下企業に報告しなければなりません。その後、川下企業は、変更後の部品CFP値を自社のCFP値に反映させた際の影響を確認し、10%以上の変化がないかを調べる必要があります。
認証プロセス外でCFP値が変更された場合
認証が完了した後でも、CFP値に10%以上の変更が発生することがあります。この場合、川下企業には、変更後のCFP値を再報告する義務が生じます。変更後のCFP値が自社に与える影響を確認し、必要に応じて自社のCFP値を修正することが求められます。
使用した原単位データベースの値が変更された場合
認証取得時に使用された原単位データベースの値が変更されることもあります。この場合、いくつかのケースに分けて対応方法を考えます。
原単位データベースの値が修正された場合
もし原単位データベースに修正が加えられた場合、修正後の数値はデータベース管理側でのみ把握できます。そのため、認証時には修正前の数値を使用することが推奨されます。
バージョン更新が行われた場合
原単位データベースが新しいバージョンに更新された場合、そのCFP算定結果が旧バージョンに基づいていることを明記し、変更内容をしっかりと記録することが重要です。
原単位データベースの種類が変更された場合
データベースの種類が変更されると、その確認がライセンスの有効期間内であれば問題ありません。しかし、ライセンスが切れている場合、データベースに関する情報が確認できなくなり、検証に支障をきたすことが考えられます。これを防ぐためには、ライセンスの管理をしっかり行うことが必要です。

サプライチェーン上で異なる種類・バージョンの原単位データベースを使用している場合
サプライチェーンにおいて、異なる種類やバージョンの原単位データベースを使用している企業がある場合、それを統一するのは難しいことがあります。そのため、どの企業がどの種類・バージョンを使用しているかを明記することが重要です。これによって、データの整合性が確保され、トラブルを未然に防ぐことができます。
複数種類の原単位データベースを使用している場合
特定の企業が複数の原単位データベースを使用している場合、その理由をきちんと説明できる必要があります。例えば、「データベースAよりもデータベースBの方が排出量が小さいから」という理由では不適切です。正当な理由としては、「データベースAよりもデータベースBの方が実態に即して妥当な算定結果が確認できた原単位であるから」という具体的な説明が求められます。どのように、どこが妥当なのかを明確にすることが重要です。
認証プロセスにおいては、CFP値の変更や原単位データベースの変更といった課題に直面することがあります。これらの変更が発生した場合には、情報の透明性と整合性を保ちながら、必要な対応を行うことが求められます。適切な報告と確認作業を行うことで、認証プロセスをスムーズに進めることができ、将来的なトラブルを避けることができます。
まとめ
認証・検証に必要な文書や記録類は、製品が規制基準を満たしているかを確認するための基本的な情報です。これには、製品の構造や機能に関する資料、データの収集方法、計算式、エビデンスなどが含まれます。
これらの情報は透明性を持って整理・管理することが求められ、データや書類の整合性が不十分だと、後日問題が発生するリスクが高まります。特に、データのタイムスタンプや文書番号の一貫性、計算ミスの有無、マテリアルバランスなど、細部に渡る確認が重要です。
情報を明確に整理し、関係者が簡単に理解できる形式で提供することで、認証機関による審査がスムーズに進むだけでなく、最終的に求められる基準を満たすことができます。
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