近年、気候変動の影響が深刻化する中、各国で温室効果ガスの排出削減が急務とされています。 日本政府も「グリーン成長戦略」を掲げ、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減する目標を設定しました。
このため、企業や自治体が再生可能エネルギーの導入や省エネ技術の導入を進められるよう、さまざまな補助金プログラムが整備されています。 本記事では補助金増加の背景から具体的な補助事業の紹介、補助金申請までの流れをご紹介します。
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脱炭素に関する補助金が増加している背景
日本において昨今、脱炭素に関連する補助金や支援策が増加しています。増加の主な4つの背景をご紹介します。
1つ目に気候変動対策の必要性があります。世界的な気候変動の影響が顕著になり、温暖化防止に向けた取り組みが急務とされています。国際的な合意(例:パリ協定)に基づき、各国が温室効果ガスの削減目標が設定されています。
2つ目に政府の脱炭素化政策があります。日本政府は「グリーン成長戦略」を策定し、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減する目標を掲げています。この戦略には、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー技術の普及を促進するための支援策が含まれています。
3つ目に企業の社会的責任(CSR) があります。企業が環境への配慮を求められる中、脱炭素化への取り組みは企業のブランド価値向上や競争力強化に繋がります。これに対応するために、補助金を通じて企業の取り組みを支援する動きが加速しています。
4つ目に技術革新と経済成長があります。脱炭素化は新たな市場を生み出す可能性があります。環境技術の研究開発や新しいビジネスモデルの創出を支援することで、持続可能な経済成長を実現する狙いがあります。
これらの4つの背景から脱炭素に関する補助金や支援策が増加しています。
脱炭素関連補助金の目的
脱炭素関連補助金の目的は主に3つの狙いがあります。
1つ目に温室効果ガス排出削減があります。補助金を通じて、省エネルギー設備や再生可能エネルギーの導入を促進し、企業や自治体の温室効果ガス排出量を削減することを目指しています。
2つ目に持続可能な社会の構築があります。環境負荷を軽減し、次世代が安心して暮らせる社会を築くことを目的としています。特に地域のカーボンニュートラルを促進することで、地域活性化にも寄与させる狙いがあります。
3つ目に経済の脱炭素化があります。産業界全体の脱炭素化を進めることで、グリーン経済の実現を目指します。企業が新しい技術やプロセスを導入し、競争力を持続できるよう支援する狙いがあります。
脱炭素関連補助金の目的と達成目標
日本政府は、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減するという明確な目標を設定しています。この目標を達成するために、脱炭素関連の補助金が重要な役割を果たします。 以下で3つ達成目標をご紹介します。
2030年までの温室効果ガス削減目標
日本政府は、2030年までに2013年比で温室効果ガスを46%削減することを目指しています。このため、様々な補助金プログラムを通じて具体的な取り組みを支援します。
再生可能エネルギーの比率向上
2030年までに再生可能エネルギーの比率を36〜38%に引き上げることを目指しており、これを達成するために補助金が活用されます。
省エネルギーの実現
各企業の省エネルギー目標達成を支援し、国全体のエネルギー消費を減少させることを目指しています。これにより、エネルギー自給率の向上も図ります。
ここから日本で展開されている具体的な補助金や支援制度についてご紹介します。
省エネ設備導入補助金
省エネ設備導入補助金は、企業のエネルギー効率を向上させ、温室効果ガスの排出を削減することを目的としています。これにより、持続可能な産業の実現を目指します。
利用用途や条件は以下です。
利用例 | エネルギー使用合理化事業者支援事業 |
助成内容 | 省エネルギー設備の導入に対して、費用の最大1/2を補助(上限500万円) |
助成対象 | 企業が導入する省エネ設備(例:高効率ボイラー、冷却装置の改修) |
助成条件 | ・設備の導入が完了していること。 ・省エネ効果のシミュレーションを行い、具体的な数値を示すことが求められる。 |
再生可能エネルギー導入支援事業
再生可能エネルギー導入支援事業は、再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギー自給率を高めるとともに、温室効果ガスの排出削減を図ることを目指しています。
利用用途や条件は以下です。
具体例 | 太陽光発電システム補助金 |
助成内容 | 太陽光発電システムの設置に対し、1kWあたり約5万円の補助(上限20万円) |
助成対象 | 個人、法人、自治体 |
助成条件 | ・設置するシステムが一定の基準(例えば、出力が1kW以上)を満たすこと。 ・補助金申請前に設置工事契約を締結していること。 |
脱炭素化支援事業
脱炭素か支援事業は、企業の脱炭素化に向けた技術開発や設備投資を支援し、国内産業の持続可能性を高めることを目的としています。
利用用途や条件は以下です。
具体例 | 脱炭素技術開発事業 |
助成内容 | 新しい脱炭素技術の研究開発に対する助成 |
助成対象 | CO2回収・利用技術や新しいエネルギー源の開発プロジェクト |
助成条件 | ・具体的なプロジェクト計画書を提出すること。 ・技術が産業界における脱炭素化に寄与することを証明するデータが必要。 |
エコカー減税・補助金
エコカー減税・補助金は、環境に優しい自動車の普及を促進し、交通部門からの温室効果ガス排出を削減することを目指しています。
利用用途や条件は以下です。
具体例 | 電気自動車購入補助金 |
助成内容 | 電気自動車購入時に、最大80万円の補助 |
助成対象 | 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV) |
助成条件 | ・購入した車両が、一定の排出ガス基準を満たすこと。 ・購入後、指定の期間内に申請書を提出する必要がある。 |
地域のカーボンニュートラル促進事業
地域のカーボンニュートラル促進事業は、地域資源を活用したエネルギーの地産地消を促進し、地域の脱炭素化を図ることを目指しています。
具体例 | 地域エネルギー自立推進事業 |
助成内容 | 地域資源を活用したエネルギーの地産地消プロジェクトに対する助成金 |
助成対象 | 地域でのバイオマス利用や小規模風力発電プロジェクト |
助成条件 | ・プロジェクトが地域住民や団体との協力を得ていること。 ・プロジェクトの進捗状況を定期的に報告することが求められる。 |
補助金や助成を受けるための一般的な流れと注意点
脱炭素に関する補助や助成を受けるには、おおまかに以下の流れで申請を行います。
はじめに情報収集を実施します。各地方自治体や経済産業省のウェブサイトで、最新の助成金情報をチェックできます。経済産業省の「エネルギー関連施策情報」や、各地方自治体の環境施策ページに情報が記載されています。
申請したい補助金や助成金が見つかったら、申請対象が条件に合致しているかを確認します。条件を満たさない場合、申請しても補助や助成を受けることができないため、事前に確認することが重要です。
事前の確認が完了したら、申請準備を行います。
募集要項にある必要な書類を用意します。具体的には、事業計画書、見積書、設備の仕様書、環境影響評価報告書などがあります。書類の準備が整ったら、申請書を記入します。申請書には、事業の目的や期待される効果を明確に記載します。
申請の準備が完了したら申請を行います。指定された期間内に、必要書類を提出します。提出方法は郵送またはオンライン申請が多くの場合用意されています。
ここまでで申請者の準備は完了です。
申請後は、それぞれの対象機関で審査が行われます。提出書類に基づき、助成金の審査が行われます。審査基準は各プログラムにより異なり、審査に時間がかかる場合があるため、交付から逆算し早めの準備・申請を行うことが重要です。
審査で交付決定がなされます。審査を通過すると、助成金の交付決定が通知され、この際に助成金の額や使途に関する詳細が示されます。
補助金や助成金の交付決定後、採択された事業を実施します。補助や助成金を受けたプロジェクトを実施し、完了後に審査機関に報告書を提出します。 完了後の報告のみでなく、事業の進捗状況や成果を定期的に報告することが求められる場合もあります。
主に上記のような流れで、補助金や助成金の申請から採択、実施までが行われます。
まとめ
助成金や補助金の申請は、書類の準備や条件の確認が重要です。各助成事業の目的を理解し、自社の取り組みとどのようにマッチするかを検討することが成功の鍵となります。
地域の商工会議所や経済団体からの情報提供も活用し、専門家のアドバイスを受けることも有効です。最新情報を常にチェックし、脱炭素化に向けた取り組みを進めることが大切です。