積載効率の可視化とカーボンニュートラルの事例

これまで新物流二法に至るまでの歴史と背景、2025年~2027年にかけての改正内容についてご紹介しました。
本記事では、実際の企業の取り組み事例についてご紹介します。これから積載率の改善やカーボンニュートラルに取り組む企業必見の記事です。
積載率の可視化とカーボンニュートラルの事例:ASUAとトヨタモビリティパーツ大阪支社
物流事業者に特化したコンサルティングサービスを行うASUA社は、積載率の可視化にトヨタモビリティパーツ大阪支店(TMP)と取り組んだ事例があります。
TMPは、便による積載率のばらつきがあり、非効率な輸送がされていました。
そこで動物量での車両削減と同物量での車両削減や他社荷物の共同配送が可能な積載率標準化の案を出し、空きスペースの把握と→社荷物の共同配送ができるようになりました。
これにより、配送効率が1.5倍になりCo2排出量が30%削減されました。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
車両ごとの積載率の算出は、売上明細の全データを抽出し、売上明細を分類し、本部の売上とPtoP売上を仕分け、本部締めの時間表とPtoP締めの時間表に分けることで便の特定を実施しました。
売上明細と各種マスタを用いた積載率とCO2排出量の算出・シミュレーションはTMPのデータベースから売上明細データをCSVでエクスポートします。次に社内環境からWEBブラウザで算出・シミュレーションプログラムにアクセスし、データのアップロードを行い、受注締め時間や車格、燃費などの各種設定マスタに基づいた設定ロジックによる計算を実施しました。
これにより、売上明細データから受注時間、配送先、商品サイズ糖の連携や算出に必要となる情報を取得し、売上明細データと各種マスタを連携し、積載率とCO2排出量を算出しました。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
積載量の改善によるCO2排出量の削減プロジェクト
TMPは、様々な形状の荷物を配送するため、積載率の算出が困難だった状況にあったことから、ASUA社と部品輸送における車両の積載量改善およびCO2排出量を削減するプロジェクトも開始しました。
これにより、受注情報からトラックの積載率を可視化することに成功し、今後、本システムを活用した受注情報の締め時間から積載率のシミュレーションを行うための追加開発の実施を行っていくことになりました。車両ごとの積載率の実態を正確に把握することで物流総合効率化法を推進、ひいては物流2024年問題の解決の一助となることを目指していく予定です。
ウイングアーク1st・Traevo・アスアによる積載効率の可視化とCO2排出量の可視化
新物流二法への対応課題に対応したソリューションで課題解決をしています。
荷造作業効率化のための事前出荷情報の提供の対応には、納品伝票の電子化をできるウイングアーク1stのinvoiceAgentを活用しています。これにより、事前に取引先へ共有し、ドライバーの待機時間を削減することができています。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
荷待ち、荷役作業時間の把握と短縮、共同輸送、復荷の実現には、トラックの動態管理ができるtrevo社のtraevo Platformを活用しています。これにより、車両の稼働状況をリアルタイムで把握し、荷待ち時間を短縮しています。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
これにより積載効率向上及び、 CO2排出量を自動計算し納品伝票とトラック動態管理情報を連携させ算出しています。
算出したデータは、ウイングアーク1stのEcoNiPassを利用し全社のCO2排出量の可視化を行い、積載効率、 CO2排出量の精緻な可視化と改善を行っています。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
運輸デジタルビジネス協議会 WG05Bにおいて実証実験
運輸デジタルビジネス協議会のWG05Bにおいて実証実験では、S社7台の車両にて積載率・積載効率・CO2排出量・トンキロ当たりのCO2排出量を可視化を行っています。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
6車両走行イメージ(空車距離⾧め)の場合には、物流会社だけでなく、荷主とともに積載効率を上げる工夫をすることが必要です。

出典:株式会社アスア 「新物流二法」施行目前!積載効率の最適化で実現するカーボンニュートラルと物流改革ウェビナー
まとめ
物効法では、物流事業者と荷主が協力して積載効率の改善をすることが求められています。また、CO2排出量を削減するには積載効率の改善が重要・積載効率を改善できればカーボンニュートラにもつながります。
積載効率を改善するには、まずは正確な把握が必要・多くの物流事業者(車建)は積載率の把握が難しい伝票電子化、日報情報、車両データから簡単に積載効率を可視化できるシステムの活用が重要です。
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