目次

■AIによる記事の要約
カーボンニュートラル業務におけるScope3のデータ整備について解説したものです。Scope3は、企業が直接管理できないサプライチェーン全体のCO2排出量を指し、データ収集や算定の難易度が高いのが特徴です。Scope1(自社の直接排出)やScope2(購入エネルギーによる間接排出)と異なり、Scope3は15のカテゴリーに分類され、調達・生産から販売・廃棄までの排出量を算定する必要があります。記事では、各カテゴリーの計算方法やデータ収集の課題を詳しく解説し、効率化のポイントとして、排出原単位の一元管理、自社データの整理、他社データの収集手法を紹介しています。また、EcoNiPassの機能を活用することで、取引先とのデータ共有を自動化し、業務負担を軽減できると提案しています。企業がカーボンニュートラルPJを推進する上で、Scope3データ整備の重要性を強調した内容となっています。
カーボンニュートラルの取組内容と関連する部門
どうも!EcoNiPass事業責任者の水島です。今回は、カーボンニュートラル業務のデータ整備(Scope3)についてまとめてみたいと思います。是非、ご参考いただき、カーボンニュートラルPJの体制を作っていただけたら幸いです。
表1.カーボンニュートラル業務の全体像
業務の流れ | 主な部門 | 具体的な業務 |
---|---|---|
データの整備(SCOPE1,2) | 総務部/経理・財務部など | ・エネルギー使用量のデータ化 ・証跡を残す |
データの整備(SCOPE3) | 調達部/総務部/営業部など | ・仕入元へのヒアリング ・仕入元からのデータ集計 ・会計データからの算定 |
データの集計 ⇒ここについて解説 | 環境部/サスティナビリティ推進部/総務部など | ・拠点ごとやグループ企業ごとに集計 ・SCOPE3の集計 |
各種レポート提出 (TCFD、SBT、省エネ法など) | 環境部/サスティナビリティ推進部/総務部など | ・認定や法規則に基くレポート作成/提出 |
削減施策の立案/管理 | 環境部/サスティナビリティ推進部/総務部など | ・削減施策の調査/立案 ・削減施策の推進 ・削減施策コストの調整 |
経営・事業の評価 | 経営/経営企画など | ・会計/財務データとのデータ突合 ・脱炭素コストの把握 ・脱炭素を考慮した事業計画作成 など |
Scope3とは?
まずは、Scope3について理解を深めていきましょう。
Scope3とは、企業が直接管理できないサプライチェーン全体に関わる間接的なCO2排出量を指します。これは、企業の**上流(調達・生産)と下流(販売・消費・廃棄)**のすべての活動から発生する温室効果ガス(GHG)排出量を含みます。
Scope1(直接排出)、Scope2(購入エネルギー由来の間接排出)とは異なり、企業単体では管理が難しく、算定の難易度が高いのが特徴です。
以下にScope(スコープ)と呼ばれる分類と詳細について、まとめましたのでご参考ください。
表2.Scope3の全体像
活動量 | 内容 |
---|---|
Scope1 | 企業が直接的に排出する温室効果ガスのことです。 サプライチェーン排出量の仕組みでは、環境省の公開している定義では、事業者が直接排出している温室効果ガスに限らず、事業活動に関わるさまざまな排出を合わせた排出量を指しています。 例)ガソリン、重油、灯油 など |
Scope2 | 企業が他社から購入した電気や熱、蒸気などのエネルギーを使用することで間接的に排出される温室効果ガスの量です。 例)電気、蒸気、 |
Scope3(カテゴリー1) 購入した製品・サービス | 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達 |
Scope3(カテゴリー2) 資本財 | 生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上) |
Scope3(カテゴリー3) Scope1、2に含まれない 燃料及びエネルギー活動 | 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等) 調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等) |
Scope3(カテゴリー4) 輸送、配送(上流) | 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主) |
Scope3(カテゴリー5) 事業から出る廃棄物 | 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送、処理 |
Scope3(カテゴリー6) 出張 | 従業員の出張 |
Scope3(カテゴリー7) 雇用者の通勤 | 従業員の通勤 |
Scope3(カテゴリー8) リース資産(上流) | 自社が賃借しているリース資産の稼働 (算定・報告・公表制度では、Scope1、2 に計上するため、該当なしのケースが大半) |
Scope3(カテゴリー9) 輸送、配送(下流) | 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売 |
Scope3(カテゴリー10) 販売した製品の加工 | 事業者による中間製品の加工 |
Scope3(カテゴリー11) 販売した製品の使用 | 使用者による製品の使用 |
Scope3(カテゴリー12) 販売した製品の廃棄 | 使用者による製品の廃棄時の輸送、処理 |
Scope3(カテゴリー13) リース資産(下流) | 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働 |
Scope3(カテゴリー14) フランチャイズ | 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1、2 に該当する活動 |
Scope3(カテゴリー15) 投資 | 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用 |
その他(任意) | 従業員や消費者の日常生活 |
Scope3は非常に多岐に渡るため収集するだけでも大変困難なデータとなります。
Scope3の計算方法とは?.データを自動的に集める仕組みを作る
環境省「平成25年度サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量等算定方法調査委託業務」において作成された基本ガイドラインに記載されている内容を列挙いたします。
Σはシグマと読み、合計という意味を指します。SUM関数ですね。
■カテゴリー1 購入した製品・サービス
自社が購入・取得した製品またはサービスに係る資源採取段階から製造段階までの排出量を
サプライヤーごとに把握し、積み上げて算定する方法
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (サプライヤーごとの排出量) }
※購入・取得した製品またはサービスの資源採取段階から製造段階まで
自社が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データに製品またはサービスごとの資源採取段階から製造段階までの排出原単位をかけて算定する方法
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (自社が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データ) × (排出原単位) }
※購入・取得した製品またはサービスの資源採取段階まで遡及したもの
■カテゴリー2 資本財
自社が購入または取得した資本財別に原材料調達から製造までの排出量を把握し、積み上げて算定する方法
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (物品購入量) × (サプライヤー独自の資本財ごとの排出原単位) }
資本財のサプライヤーから資本財に関するScope1及びScope2の排出量、原材料の重量、輸送距離、廃棄物の重量等を把握し、項目別に積み上げて算定する方法
※信頼性の高いGHGインベントリ、製品カーボンフットプリント、社内LCA報告を作成している場合の原単位であり、資源採取段階から製造段階まで
【計算式】
CO2排出量 = Σ (サプライヤーの資本財関連のScope1及びScope2の排出量※) + Σ { (原材料の投入量または価格) × (排出原単位) } + Σ { (原材料の輸送量) × (排出原単位) } + Σ { (資本財に関連した廃棄物の重量) × (排出原単位) }
※建設等に係る電気、燃料などのエネルギー消費量などを含む
購入した資本財の重量、販売単位、あるいは支出額を把握し、排出量を推計する方法
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (資本財の重量) × (排出原単位) } または Σ { (資本財の販売単位) × (排出原単位) } または Σ { (資本財の価格 (建設費用)) × (排出原単位) } ※資本財ごとに算定式を適用
■カテゴリー3 Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動
自社が購入した燃料・電力・熱等の物量・金額データに、資源採取段階から輸送段階までの排出原単位をかけて算定する方法
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (自社が購入したエネルギーの物量・金額データ) × (排出原単位) }
※購入したエネルギーの資源採取段階から輸送段階まで
■カテゴリー4 輸送、配送(上流)
・燃料法【計算式】
CO2排出量 = Σ { (燃料使用量) × (排出原単位) }
・燃費法【計算式】
CO2排出量 = Σ [ { (輸送距離) / (燃費) } × (排出原単位) ]
・トンキロ法【計算式】
CO2排出量 = Σ{ (輸送トンキロ) × (排出原単位) }
・拠点由来の排出量【計算式】
【燃料】 CO2排出量 = Σ{ (燃料使用量) × (排出原単位) }
【電力】 CO2排出量 = Σ{ (電気使用量) × (排出原単位) }
■カテゴリー5 事業から出る廃棄物
廃棄物処理・リサイクル業者への委託費用や委託量に、
排出原単位を乗じることによって排出量を推計する
<処理・リサイクルの実態を把握している場合>
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (廃棄物種類・処理方法別の廃棄物処理・リサイクル量) × (廃棄物種類・処理方法別の排出原単位※) }
※排出原単位は、廃棄物の種類別・処理方法別に設定します。”
<処理・リサイクルの実態を把握していない場合>
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (廃棄物処理・リサイクル委託費用(量)) × (廃棄物種類毎の標準的なシナリオに基づく排出原単位) }”
■カテゴリー6 出張
<旅客航空機、旅客鉄道、旅客船舶、自動車>人キロ
【計算式】
CO2排出量 = (輸送モード別) Σ { (旅客人キロ) × (排出原単位) }
ここで、旅客人キロ=(経路別) Σ { (旅客数) × (旅客移動距離) }
<自動車>燃料法
算定・報告・公表制度における特定荷主の算定方法の一つ。
自動車移動のために消費された燃料使用量が把握できる場合には、下記の方法で算定する。
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (燃料使用量) × (排出原単位) }
<自動車>燃費法
算定・報告・公表制度における特定荷主の算定方法の一つ。
自動車移動の輸送距離が把握できる場合には、下記の方法で算定する。
【計算式】
CO2排出量 = Σ [ { (輸送距離) / (燃費) } × (排出原単位) ]
<公共交通機関>交通費支給額
公共交通機関利用の場合は、(移動手段別の)交通費支給額に基づき算定
【計算式】
CO2排出量 = (移動手段別) Σ { (交通費支給額) × (排出原単位) }
移動手段別の交通費が不明な場合には、移動手段別の割合をサンプリング調査等により設定し算定
<出張>出張日数
移動距離、燃料使用量、交通費支給額といったデータを把握していない場合、
出張日数をもとに算定
【計算式】
CO2排出量 = (出張種類 (国内日帰・国内宿泊・海外) 別) Σ { (出張日数) × (排出原単位) }
<出張>従業員数
出張日数に基づく算定が難しい場合、
常時使用される従業員数に基づき算定
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (従業員数) × (排出原単位) }
■カテゴリー7 雇用者の通勤
<旅客航空機、旅客鉄道、旅客船舶、自動車>人キロ
移動距離が把握できる場合は、下記方法より算定。
【計算式】
CO2排出量 = (輸送モード別) Σ { (旅客人キロ) × (排出原単位) }
ここで、旅客人キロ=(経路別) Σ { (旅客数) × (旅客移動距離) }
<自動車>燃料法
算定・報告・公表制度における特定荷主の算定方法の一つ。
自動車移動のために消費された燃料使用量が把握できる場合には、下記の方法で算定する。
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (燃料使用量) × (排出原単位) }
<自動車>燃費法
算定・報告・公表制度における特定荷主の算定方法の一つ。
自動車移動の輸送距離が把握できる場合には、下記の方法で算定する。
【計算式】
CO2排出量 = Σ [ { (輸送距離) / (燃費) } × (排出原単位) ]
<公共交通機関>交通費支給額
公共交通機関利用の場合は、(移動手段別の)交通費支給額に基づき算定
【計算式】
CO2排出量 = (移動手段別) Σ { (交通費支給額) × (排出原単位) }
移動手段別の交通費が不明な場合には、移動手段別の割合をサンプリング調査等により設定し算定
<通勤>従業員数、営業日数
移動距離、燃料使用量、交通費支給額といったデータを把握していない場合、
常時使用される従業員数・年間の営業日数に基づき算定
【計算式】
CO2排出量 = (勤務形態・都市階級別) Σ { (従業員数) × (営業日数) ×(排出原単位) }
■カテゴリー8 リース資産(上流)
エネルギー消費量による算定
リース資産ごとのエネルギー消費量から推計
※オフィスビルのテナントなどのように、自社が賃借している資産が資産全体の一部分であり、そのエネルギー消費量を按分する必要がある場合には、面積比率などを用いてエネルギー消費量を按分。
【計算式】
※エネルギー種別に消費量を把握
CO2排出量 = Σ { (リース資産におけるエネルギー種別の消費量) × (エネルギー種別の排出原単位) }
※種別の消費割合が不明
CO2排出量 = Σ { (リース資産におけるエネルギー消費量) × (エネルギー種別に加重平均した排出原単位) }
各リース資産の規模を表す指標による算定
エネルギー消費量を把握していない場合、各リース資産についての規模等を表す指標に基づき算定
【計算式】
<建築物の場合>
CO2排出量 = Σ{ (賃借している建築物の床面積) × (単位面積当たりの排出原単位) }
■カテゴリー9 輸送、配送(下流)
・燃料法【計算式】
CO2排出量 = Σ { (燃料使用量) × (排出原単位) }
・燃費法【計算式】
CO2排出量 = Σ [ { (輸送距離) / (燃費) } × (排出原単位) ]
・トンキロ法【計算式】
CO2排出量 = Σ{ (輸送トンキロ) × (排出原単位) }
・拠点由来の排出量【計算式】
【燃料】 CO2排出量 = Σ{ (燃料使用量) × (排出原単位) }
【電力】 CO2排出量 = Σ{ (電気使用量) × (排出原単位) }
■カテゴリー10 販売した製品の加工
販売先データ①
販売先の事業者から加工に伴う排出量データを入手できる場合
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (サプライヤーごとの排出量) }
販売データ②
販売先の事業者から中間製品の加工に伴うエネルギー消費量を入手できる場合
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (中間製品の加工に伴うエネルギー消費量) × (排出原単位) }
※販売先企業からデータが入手できない場合
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (中間製品の販売量) × (加工量当たりの排出原単位) }
■カテゴリー11 販売した製品の使用
エネルギー使用製品の販売
販売数量等と標準的な使用シナリオ(商品の設計仕様および消費者における製品の使用条件に関する仮定)等に基づく使用時のエネルギー消費量を推計し算定
※間接使用段階の算定は任意。
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (製品の想定生涯使用回数) × (報告期間における販売数) × (使用1回あたりのエネルギー消費量) × (排出原単位) }
+Σ { (製品使用時の5.5ガスの排出量) × (地球温暖化係数) }
燃料・フィードストック(石炭、石油、都市ガス等)の使用
燃料・フィードストック(石炭、石油、都市ガス等)の燃焼に伴う排出量を算定
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (燃料・フィードストックの販売量の合計) × (排出原単位) }
GHG含有製品で、使用時にGHGを排出するもの
使用に伴い排出されるGHG量の推計
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (製品あたりのGHG含有量) × (製品の総販売数) × (生涯試用期間のGHG排出率) × (地球温暖化係数) }
※CO2排出率が不明の場合は100%と想定して算定してください。
■カテゴリー12 販売した製品の廃棄
廃棄物処理・リサイクル業者への委託費用や委託量に、排出原単位を乗じることによって排出量を推計する
【計算式】
<処理・リサイクルの実態を把握している場合>
CO2排出量 = Σ { (廃棄物種類・処理方法別の廃棄物処理・リサイクル量) × (廃棄物種類・処理方法別の排出原単位※) }
※排出原単位は、廃棄物の種類別・処理方法別に設定します。”
<処理・リサイクルの実態を把握していない場合>
CO2排出量 = Σ { (廃棄物処理・リサイクル委託費用(量)) × (廃棄物種類毎の標準的なシナリオに基づく排出原単位) }”
■カテゴリー13 リース資産(下流)
エネルギー消費量による算定
リース資産ごとのエネルギー消費量から推計
※オフィスビルのテナントなどのように、自社が保有している資産が資産全体の一部分であり、そのエネルギー消費量を按分する必要がある場合には、面積比率などを用いてエネルギー消費量を按分。
【計算式】
※エネルギー種別に消費量を把握
CO2排出量 = Σ { (リース資産におけるエネルギー種別の消費量) × (エネルギー種別の排出原単位) }
※種別の消費割合が不明
CO2排出量 = Σ { (リース資産におけるエネルギー消費量) × (エネルギー種別に加重平均した排出原単位) }
各リース資産の規模を表す指標による算定
エネルギー消費量を把握していない場合、各リース資産についての規模等を表す指標に基づき算定
【計算式】
<建築物の場合>
CO2排出量 = Σ{ (賃貸している建築物の床面積) × (単位面積当たりの排出原単位) }
■カテゴリー14 フランチャイズ
算定・報告・公表制度における算定方法に準じて算定
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (エネルギー消費量) × (排出原単位) }
■カテゴリー15 投資
被投資者から得た投資別のScope1及びScope2の排出量を投資持分比率に応じて積み上げて算定
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (各株式投資の排出量※) × (排出原単位) }
+ Σ { (各債権投資の排出量※) × (投資先の総資本に対する割合) }
+ Σ { (各プロジェクトの排出量※) × (プロジェクト出資額の割合) }
※Scope1及びScope2の排出量
被投資者からデータから得られない場合、経済データから推計
【計算式】
CO2排出量 = Σ { (株式投資額) × (投資部門の排出原単位) }
+ Σ { (債権投資額) × (投資部門の排出原単位) }
+ Σ { (プロジェクトへの総投資額) × (投資部門の排出原単位) }
書いてる方も疲れるくらい、Scope3の算定は大変ですね・・・。
次の章で、効率化できるポイントを記載します。
データの整備(SCOPE3)効率化のポイント
各カテゴリーで必要なデータを分類分けをしてくと良いと考えています。
1.排出原単位
2.自社データ(金額、勤怠、物量など)
3.他社データ
1.排出原単位
こちらは、環境省やIDEAにあるデータを用いることが一般的です。毎年、データの更新が必要になるので、マスターデータのような形で一元管理をしておくと運用が楽になると思います。
2.自社データ
ERPや各種システムにデータが保持されているケースがほとんどです。各システムから必要な項目をCSVで受け取ったり、RPAで自動的にデータを取りに行ったりと工夫ができるかと思います。また、BIツールにデータが連携されている場合、そこかあらデータを抽出してくることが可能となります。
困難なポイントとしては、ERPは情報システム部門、人給は人事部門、購買は購買部といった形で、システムを利用している部門が様々となるため、各部門との事前の調整が必要です。算定する前にデータを整備した上で背景と事情を説明しておきましょう!
3.他社データ
これが本当に大変な作業になります。アンケートや請求書からデータ化していくのが一般的かと思います。まずは、アンケートを取らないといけない取引先と不要な取引先の整理をする必要があります。その上で、アンケートを取らないといけない取引先には、テーブル形式の入力フォーマットがベターで、理想はデータ入力ツールを展開し入力してもらうのがベストだと考えています。体裁を整えると集まったデータを入力する際に余計なコストになるので、体裁を整えないのが理想だと考えています。請求書関連に関しては、OCRやBPOサービスを利用し、データ入力の手間を省力化していくのが良いです。
EcoNiPassでは、自社でCO2算定をしているだけで、自動的に取引先へデータを送る機能があるので、この機能をぜひ活用してもらえたら嬉しいと考えています。取引先専用のデータ入力ツールが増えると、データ入力する方の工数が膨大になるので、我々としては無くしていきたいと考えています。
まとめ
さて、今回はデータの整備(SCOPE3)ということで記載をしましたが、Scope3は多岐に渡り、データ収集が本当に大変であることがわかったと思います。今後は毎年の作業になっていくので、いち早く整理と整備をしていただき、ITで自動化できる部分はIT化していって貰うのが良いと考えています。カーボンニュートラルの取組に積極的になれないと思いますが、Scope3の収集だけでも非常に重たい業務が待ち受けておりますので、ぜひ、社内での整理からはじめてみてください!
筆者紹介

EcoNiPass事業責任者
水島 健人
2011年新卒でウイングアーク1st株式会社(現)に入社。Dr.Sum・MotionBoardを中心に直販/間販に従事しマネジメントを経験。その後、新規事業開発責任社として、2022年 CO2排出量可視化事業「EcoNiPass」を立ち上げ。2023年 中小企業向け経営マネジメント事業「BanSo」の立ち上げをおこなう。
プライベートでは、「FCハマ」(少年向けのサッカークラブ)の代表を務めている。